2022/08/05 17:58
一般的に印鑑の彫刻方法は、
□ 職人が手作業で彫刻する "手彫り"
□ 印章彫刻機を使い彫刻する ”機械彫り”
に分けられます。
上記の写真は、それぞれの方法で彫刻した印鑑です。
(左側:機械彫り、右側:手彫り)
”機械彫り”の彫刻方法では、まず最初にパソコン上でフォントを使い、印鑑の文字配置をデザインします。
(と言っても、機械彫り彫刻の場合はフォントをそのまま配置し、細かい調整をしない事が多いのも事実です)
配置が完了したら、彫刻用の針がついた印章彫刻機に印材(彫るはんこ)をセットします。
その後は機械が自動で彫刻し、完成です。
”機械彫り”の印影(左側)は全体的にボテッとした印象なのに対し、”手彫り”の印影(右側)はスッキリと字にキレがあるのを感じて頂けるかと思います。
また、機械彫りでは写真のように底に彫り残しが残る事もあり、そのままでは鮮明に捺印できない要因となります。
mukuはんこ店の印鑑は、一級印章彫刻技能士が一本一本手作業でお作りしています。
その製作過程を大まかにご紹介します。
▲印稿作成
機械彫り”は既製のパソコンフォントを使用しましたが、”手彫り”は職人がお名前に合わせて文字を書き出します。
少しの差で大きく印象が変わる、非常に難しい作業です。
古くから使われる字典を参考にしながら、美しく調和のとれた組み合わせになるよう、デザインしていきます。
▲布字
印面調整(はんこの彫刻面を平らにする)、字割(文字を書き入れるガイドとなる線を入れる)を経て、筆と墨を使い印稿通りに文字を書き入れます。
この時、頭の中で文字を反転させ、印面には文字を逆さまに入れます。
▲ 荒彫り
枠と文字を残し、それ以外の部分を”印刀”で彫って行きます。
彫刻する部分によって印刀の太さを変え、朱色の部分が無くなるまで荒彫りを行います。
印刀は職人が自分好みの太さや角度になるよう、複数の砥石を使い自らの手で調整します。
▲ 仕上げ
再度印面調整を行った後、”仕上刀”に持ち替えて細かい部分を仕上げていきます。
この作業により、機械彫り彫刻には表現できない文字の切れ・勢いを出す事ができます。
▲ 左:布字完了後、中:荒彫り完了後、右:仕上げ完了後
大まかに、このような流れで一本のはんこが出来上がります。